継ぐはずだった農家の長男が急死 残された妻と子供の将来案じ

Aさん(67歳)は、妻と長男Bと札幌近郊で野菜農業を営んでいた。Bの妻Cは、会社勤めをしながら農家を手伝っていた。Aさんには他に、すでに嫁いでいる長女Eと独身で同居の次女Fがいたが、全く農家の手伝いはしていなかった。

ある日、Bが38歳の若さで急死。BとCの間には5歳になる息子Dがいた。Cは勤務を正社員からパートタイムに変え勤務時間を減らし、出来る限りAさん夫婦の農業の手伝いに充てた。 そんなCや孫DのことをBに代わって守りたいとAさんは強く思っていた。しかし、仲の良い三兄妹でCとの関係も良好であったはずのEとFが、Bの死後に態度を豹変。Cに向かって「両親(Aさん夫婦)になにかあっても他人だから関係ない。できれば出て行ってほしい」と言ったことも。Eの考えは、将来的にBが継ぐはずだった土地は自分が継ぐが、農家は廃業。CにはDを連れて家を出てもらい、Aさんの相続発生時には遺留分程度の遺産分割をするという。Fも農業は全くやる気がなく、両親にも廃業を希望。Aさんの相続時には、母(Aさんの妻)とEと均等に遺産を分けたい。Bの死亡時にCは死亡保険金を受け取ったのでその恩恵を受けているDには遺産分割する必要がないと考えていた。

Aさんから相談を受けた相続診断士Zはパートナー弁護士Xと共に、EとFと正面から話し合いお互いに理解していく必要性を説明。Aさんは、B亡き後もCとDは大切な家族で今後も見守っていく必要があること、そのためにCと養子縁組をして法的にも相続分を確保してやりたいとの自身の思いを時間をかけ粘り強く伝え続けた。最初は拒絶していたEとFも徐々に気持ちが軟化し、AさんとCの養子縁組に同意。すぐXにより、Aさんは家族全員に遺産分割にあたっての考えも記した(※注1)公正証書遺言を作成した。現在もAさん夫婦はCの手伝いのもと元気に農業をやっている。

※実際の案件ですが、人物像や背景など詳細は変更しています。
※注1 付言事項

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